鎌倉時代中期の人、山城国住人粟田口吉光は、短刀が有名な刀匠である。一期一振は唯一の長刀といわれている。銘の「一期」はそれ故に名付けられた。「一期一振吉光」もしくは「一期一振藤四郎」とも呼称される。吉光作の日本刀は、正宗、郷義弘等と合わせて名物三作と呼ばれ古来より尊重されてきた逸品である。鍛えは小板目、刃文は直刀に小乱れで互の目交じり、小足が入る。表裏に棒樋は通る。茎は大磨上。目釘孔は一つ、その下に「吉光」の額銘が刻まれている。製作の後、所有者不明の状態が長かった。一説には、戦国期に越前の戦国大名朝倉氏が所有し、家宝としていたという。他方、本阿弥祐徳が堺にて銀30枚で入手、後に豊臣秀吉に金30枚で召し上げられたとの説もある。
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一期一振について