「大和伝」は、五箇伝のうち最も古い歴史を持っている。大和は各地の豪族を服属させ束ねて王権を確立させた地である。「大和伝」の特長は、装飾性を省略し、武器としての実用を第一義としている点であろう。
重ねは厚いが重量軽減のため鎬の重ねが薄い。故に鎬が高くなっている。身幅は狭く、切先は小さい。地鉄はまっすぐな柾目肌。刃文は、中沸本位の直刃に互の目の小丁子交じり。
食い違い刃、二重刃、打ちのけ等、柾目肌に沿うような縦方向の働きが多く見られる。帽子に見られる特長は、線状に光る金線、砂流しが見られる。また、「大和伝」の刀剣には無銘が多いのも大きな特長である。
大和の刀匠はいずれかの寺社に属し、所属した寺社に直納したことがその理由といわれている。