かつての時代を闊歩していた武士などに現代人が憧れの情念を抱き、そのような生き様を目指す人は、複雑な社会の様相を呈している現代においても多いでしょう。武士が敵と向かい合い、刀を鞘から抜く姿は、何とも言えぬ懐かしさと、力強さを感じる人は、多いと言えるでしょうし、このように感じることができる人が現代にいることこそ、武士道の熱さというものが現代にもしっかりと伝わっている何よりの証拠だと言えるでしょう。武士道と刀を結びつけた考察は今に始まったものではなく、日本が有史以来脈々と受け継いできたものであり、長い長い歴史のなかで無駄がそぎ落としていく過程にあって生まれたものであるということははっきり自覚しておくと良いでしょう。実際に、刀を使って稽古を行っていく居合道においては、練習を通して刀がどのようにして空間を移動するのかというところにも、注意を向けることができるでしょうし、様々な理解に役立つ部分もあるでしょう。かつて広く存在していた武士は刀を持つということが、支配階級にあるというなによりその身分の証明でもありましたから、何よりも刀を大事にしていたと聞いたことがあります。肌身離さず刀をもっていて手入れを欠かすことなくやることが常識であったわけですね。これは当然で、刀がなければ自分が何者か、どんな階級なのかということがわからないのですから、どこに行っても相手にされないわけでして、一方で、刀を持って街を歩けば、あぁ、あの人は武士の生まれだという風に何よりも目印になったわけです。今で言う信頼のパスポートの代わりを刀が成していたと考えるのが分かりやすいのではないでしょうか?そういう意味で、名をなし、実をなしていたのが刀であったということはお分かりいただけたのではないでしょうか?
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武士と日本刀