居合の境地というものがあるとすれば、ここはスポーツとよく似ていることがあり、結局は、同じ練習、つまりシンプルな練習を繰り返していくことでしっかりと技術が身についていき、効率の良い鍛錬に繋がっていくのです。特に居合道の場合、単調な動作の繰り返しになってしまうことが多いと言われますが、その単調な動きの中にこそ、重要な動きがあるという風に練習を重ねていくとわかっていくことがあるはずでしょう。実際のところ、その型を反復練習して心と体を鍛えていくことが重要で、一般的に言われる居合の最終到達点というものは、刀を抜かなくても相手を制圧することができる、という状態まで持っていくことができるのが居合道の理想であると言われています。つまり、刀なしにして「虚の刀」で相手を制することができるようになれば、一流の居合道の使い手であり、専門家となったと言えるはずでしょうし、そう捉えてもいいかもしれません。このような型というのは、犯罪など暴力的な行為が少なくなった現代においてはあまり役立たないという風に思われがちですが、自分自身の体をどのように守るのか、咄嗟的に出る行動を自分自身でどのようにコントロールすることができるのか、という、本能的な部分に武道の動作を組み込むことができれば、どんなことがあっても自分で自分をしっかりと守ることにつながります。いくら日本が安全になったとはいえ、女性などであれば特に注意しておく必要がありますから、刀を使った鍛錬などを通じ、パターン練習をしておく事で有事の際には対応をすることができるようになるではないでしょうか。一般的には、居合道においては自分自身の中に潜在的に存在するクセのようなものが練習の中で出てくることが一番まずいことだと言われています。